しっぽの力学

Robotics

しっぽロボットの力学についての考察です.この考察を改良に活かしていきます.

しっぽの構造

現在開発中のしっぽは次の手順で動きます.

  1. プーリーが糸を引っ張る
  2. 末端のディスクが引かれる
  3. バネが圧縮される
  4. バネを介して他のディスクに力が伝播する
  5. 運動方程式に基づき平衡状態で静止する

平衡状態での力の釣り合い


Phase 5 における力の釣り合いについて考えます.

Disk i は spring i-1 と spring i に挟まれています.また,各物理量を次のように定義します.

  • f_t: 糸の張力
  • f_{s, i}: spring-i の復元力
  • f_c: 中心のゴム紐の張力
  • \theta_i: diski の diski-1に対する相対角度

張力の性質上,滑車などに働く張力の大きさは等しくなります.バネは直列に繋がっているため全てのバネの力は等しくなります (f_{s, i-1}=f_{s, i} )

したがって,ディスクの軸方向には各々の力(バネ力,ワイヤの張力)が釣り合っており.同様に力のモーメントも釣り合っています..

一方で,半径方向には次の釣り合いの式が成り立ちます.

0 = f_t \sin \theta_{i-1} + f_t \sin \theta_{i} + f_c \sin \theta_{i-1} + f_c \sin \theta_{i} - (f_{s, i-1} \sin \theta_{i-1} + f_{s,i} \sin \theta_{i})

バネ定数が全て同じだとすると, \theta_{i} = \theta_{i-1}となります. \theta_{i} \neq 0 とすると,

0 = f_t + f_c - 2 f_{s,i}

となり,結局のところディスクは半径方向に移動し糸の張力,ゴム紐の張力,バネの復元力が釣り合うところで静止すると言うことになります.

変形量

最終的なしっぽの曲がり量,つまり最初と最後のディスクの相対的な角度\Thetaは次のようになります.

\Theta = \sum^{N}_{k=0} \theta_k = N \theta

ここで Nはバネの総数, \theta = \theta_0 = \cdots = \theta_i= \cdots = \theta_{N-1} とします.
内側と外側の糸の距離をd, 全体の糸の送り量をxとすると,\thetaは大雑把に考えると次の関係を持ちます.

\frac{d}{2}\theta = \frac{x}{N}
したがって,
\Theta = \frac{2}{d}x
となります.さらに,直径Dのプーリを\phi[rad]だけ回転させて糸を引いたとすると,次のようになります.

\Theta = \frac{D}{d} \phi

結局,\ThetaNに依存しませんでした.

何が問題だったのか

しっぽロボットに毛皮をつけた時に,先端しか曲がらなくなっていまいました.今回の考察に基づいて考えると,おそらくディスクが毛皮内側に引っかかってしまい,ディスクの回転を妨げしまったと予想されます.解決方法としては次のようなものを考えています.

  • ディスクの素材を変えて摩擦係数を小さくする.
  • 末端以外のディスクを小さくして,毛皮に触れないようにする.

追記

のちに判明した問題です

  • モータのトルク不足
  • しっぽの芯が柔らかすぎて,芯が複数箇所で曲がってしまっていた(座屈モードが変わってしまっていた)

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