六本木の森美術館で行われている「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」に行ってきました.1エンジニアとして興味深くまた,考えさせらせる展示でした.写真OK,公開OKということだったので印象的だったものを紹介していきます.
モジュール型都市
温暖化による海面の上昇によって海上に住むことを想定した都市です.面白いのが,居住ブロック,食料生産ブロック,発電所ブロックなどに施設がモジュール化された島になっている点です.翠星のガルガンティアを思い出すアイデアです.状況に応じてモジュールを組み替えることによって都市の構造を最適化していくという構想でデザインされています.他の展示でも都市機能をモジュール化することによって環境の変化に動的に対応していくという構想でデザインされたものが多かったです.
海上風力発電と同様に,潮風による腐食や高波,津波への対処をどうするかが課題となりそうです,
3Dプリントされた橋
写真は橋を縮小した模型ですが,この橋は実際に設置されている大型のロボットアームで3Dプリントされたステンレス製の橋になります.この橋では3Dプリントは倉庫の中で行われていました.もし,3Dプリントを設置する場所で行えば,運ぶのはフィラメントとロボットアームだけで済み,運びにくい完成品の橋の輸送コストを抑えることができます.また,ジェネラティブデザインによる最適化によってインフラのパーソナライズが行われるようになるかもしれません.
建物の緑地化
パンフレットなどのトップを飾っている建物の緑地化を主題としたオブジェです.建物を緑地化することで温暖化に対抗しようという構想ですが,実際は虫やカビが発生しやすい建物になると思っています.その部分をコントロールできない限りは実現しないでしょう.
人口松ぼっくり素材
松ぼっくりと同じように湿度や気温によって変形する素材で作られています.これと3Dプリントを組み合わせることで,環境の変化に応じて任意の形に変形する屋根や壁,もしかしたら服も作れそうです.変形に電気などのエネルギーを必要としないので,設置の自由度が非常に高いことが期待できます.ロボットとしてはペルチェ素子で駆動できるアクチュエータが作れないかなと期待してしまいます.
Prosthesis & Exoskeleton
MITのHugh Herr 先生の研究室で開発された筋電義足と走行支援用エグゾスケルトン
Xiborgの遠藤謙さんたちが開発した乙武さん専用義手義足セットです. 個人的にもっとも興奮した展示です(学生時代にやっていた研究に非常に近かったため).筋電位と呼ばれる筋肉を動かそうとする電気信号を読み取ることで,これらのデバイスは人の動きに合わせて動作します.ウェアラブルデバイスに興味がある人は見ておくべきものだと思います.また,Hugh Herr 先生はTEDでの公演が公開されており,こちらもおすすめです.
Drawing Robot
似顔絵を描いてくれるロボットです.僕も描いてもらいました.ボールペンを持った4軸のロボットアームとカメラを持った1軸のアームがペアになっていて,各テーブルに設置されています.細かいですがモータはDYNAMIXELでした.カメラはずっと僕(描かれている人)を見ているわけではなく,人のように相手と紙を交互に見比べて描いているところが面白かったです.複数のロボットにチラチラ見られる貴重な経験をしました.
今回,4台のロボットに描いてもらったのが次の絵です.大分個性が現れています.顔の特徴を検出するアルゴリズムが違うのでしょう.
この他にも大阪大学の石黒先生のロボットがいたり,食用ゴキブリがいたりと面白い展示がやっています.東京に行く予定のある人はよってみてください.
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