ModelaはRoland社が販売している樹脂用の切削加工機です.CNCの割に比較的安価なので,導入している大学・研究室も多いようです.うちの研究室にあるのはMDX-40です.
樹脂が削れるなら,基板も削れるのでは?と思い調べたところ,できることが判明しました.数回に分けて作り方を紹介していきます.
まず,必要になるのが材料と工具となります.
A. 材料
1. 生基板
銅張基板・カット基板とも呼ばれる基板の材料となります.一般的には紙フェノールかエポキシ樹脂の板に銅がコーティングされています.この銅箔を切削機で削るか,エッチングではがすことで,基板のパターンを作成します.銅箔が片面だけの片面基板と両面にある両面基板があります.両面基板は基板の位置合わせ,スルーホールの作成,通電チェックの煩雑化など難しい点が多々あるので,初めのうちは片面基板をお勧めします.
2. 捨て材
基板を切る際には,ケミカルウッドなどのほどほどの固さのブロックを基板の下に敷いて加工します.このほどほどの固さというのが重要です.柔らか過ぎれば加工精度が落ちますし,固すぎれば刃が痛みます.よく使われているのがケミカルウッドとよばれる樹脂です.ただし取り扱っているオンラインショップが少ないのが難です(Misumi, Monotaroでは取り扱いなし).
B. 工具
1. 彫刻用エンドミル
パターンを彫るための最も重要な工具です.このエンドミルの細さでパターンの細かさが決まります.画像のエンドミルでは最小で0.3mmのギャップ(導線間の距離)が作成できます.φ0.3mmのスクエアエンドミルでも加工は可能ですが,折れやすい上に,バリが残りやすいのでお勧めしません.この工具を見つけるのみ一番時間がかかりました.
2. ドリル
表面実装ではない,ブレッドボードやユニバーサル基板用の部品を取り付けるには穴を空ける必要があります.部品取り付け用の穴はφ0.8かφ1.0のものが多いです.ひとまずφ1.0のドリルがあれば大丈夫でしょう.購入する際には加工の最小シャンク径(工具をつかむ部分の直径)に注意してください.
また,基板をネジで固定するためには,ネジ用の穴も必要となります.
3. エンドミル
基板にパターンを彫り,穴を空けたあとには,基板を切る必要があります.そのときに必要となるのがφ3.0程度のエンドミルです.ただし,プラスチックカッターやバンドソーなどで代用することも可能です.
以上が基板を作るために必要なものなります.ケミカルウッド以外はmisumi,monotaroで入手可能なので比較的揃えやすいです.
次回がカバーデータの吐き出し方について紹介する予定です.
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