電動輪ゴム銃を作ろう

Mechanical design

モチベーション

タミヤのカムロボに何か武器を搭載したいと思い, 今回は輪ゴム銃を開発しました.
BB弾の電動ガンも考えたんですが, 威力, 電圧, 価格が共に高いので, 輪ゴム銃を採用しました.

かなり長い内容になっているので, 先に結果をお見せします. タミヤのカムロボのキャタピラ用のモータを銃のモータに付け替えてテストしています. 今回は5連射です.

Automatic Rubber Band Gun

構造

輪ゴム銃の機構はZumA2さんのフェンリルを参考にさせていただきました.

連発銃『フェンリル』販売モデル - Fenrir -|Over Boost !? 
“メタル輪ゴム銃”なるモノ作り |連発銃『フェンリル』販売モデル - Fenrir -|Over Boost !? 

この銃をベースにした理由は装弾数が12と輪ゴム銃の中では多かったからです. この銃は回転翼式という構造をしているそうです. 回転翼式は回転翼に輪ゴムをかけ, トリガーを引いた際に1発分だけ回転翼が回る仕組みになっています. ロボに搭載する場合は引き金という形をとる必要はないので, 銃はカム機構で設計しました. 作成ではMDF板をレーザーカッターで加工しました.

設計したゴム銃の射出機構の構造を次の図で示します.

射出機構は主に次の4つの部品で構成されています.

  • Wing: 輪ゴムを引っ掛ける回転翼.
  • Slider: 左右にスライドして回転翼の回転を止めるリミッタ.
  • Cam: スライダーを押して回転翼のリミット位置を変えるカム. モータによって反時計回りに回転する.
  • Spring: スライダを押して回転翼を初期位置に戻す圧縮バネ.

メカニズム

カムが回転することで, 輪ゴム銃は次の1–5のフェイズを繰り返します.

  1. 待機状態. 一般的な輪ゴム銃の引き金を引かれる前の状態です. 輪ゴムは回転翼にかかっており輪ゴムは動きません. 図中の緑線が輪ゴムです. ここからカムがスライダを押すことでファイズ2に移行します.

  2. アンロック状態. スライダが左に移動したことで回転翼のリミットが外れ, 回転翼が回転し始める状態です. 回転翼は輪ゴムに引っ張られることで回転します.

  3. 射出状態. 回転翼が回り, 輪ゴムの引っかかりが外れ輪ゴムが飛んでいく状態です. 厳密にはフェイズ3と4の間で飛びます.

  4. 射出完了状態. 輪ゴムが飛んでいき, 回転翼が新しいリミット位置で止められた状態です. スライダの右側のツメによって回転翼が1発分の回転だけで止まります. この右側のツメがないと回転翼は止まらず全弾発射されます.

  5. リロード状態. 新しい輪ゴムが装填される状態です. カムがスライダを押さなくなり, スライダがバネによって右側に移動します. この移動によってスライダの右のツメが外れ, 回転翼が回ります. ただし, 右側のツメが外れる直前に左側のツメが入ってきているので回転翼はフェイズ1の位置で止まります.

設計の落とし穴

機構自体は比較的単純ですが, 設計上つまづくことが多々あり開発が難航しました. つまづいたところを挙げていきます.

  • スライダのツメのバランス
    この輪ゴム銃の心臓ともいうべきところです. このツメのおかげで単発の連射銃になっています. まず, ファイズ2の時に左側のツメが外れる前に右側のツメが入らなければいけません. 同時になるように設計したときには右のツメで回転翼が止まらないことがありました. ここの設計がうまくいっていれば, フェイズ5の時も右側のツメが外れる前に左のツメが入ってきます.
    また, 右側のツメが滑らかに入るためには, フェイズ1の状態で回転翼とツメの間に隙間が必要になります. ツメが回転翼の先端に当たってしまい, スライダが動かない時がありました.

  • カムの軸への固定
    今回はタミヤのユニバーサルギアボックスをアクチュエータとして使用しています. これに限らず, タミヤのギヤボックスは出力軸に六角シャフトを採用しているものが多いです. 初めはカムに六角形の穴を開けてみました. しかし, 六角形が小さいこと(二面幅が2.7mmほど)と材料が柔らかいことが原因で, カムがシャフトに対して滑ってしましました. そこで, カムにキー溝のような加工をし, 六角シャフトにはセットカラーをとりつけました. セットカラーの止めネジをわざとはみ出す長さにして, 止めネジでカムを押すようにしました.

  • アクチュエータの選定
    この輪ゴム銃のスライダはフェイズ1において回転翼に押さえつけられている状態になります. 最大で輪ゴム12本分の力がかかっていることになります. またスライダは常に圧縮バネによって右へ押されている状態です. カムはこれらの力を上回ってスライダを左へ押さなければいけません. ユニバーサルギヤボックスの中速でモータに6Vかけた状態ではスライダは動きませんでした. ギヤボックスを低速に設定することでようやくスライダが動きました(ユニバーサルギヤボックスはギヤの組み合わせを変えることで減速比を変えることができます). 余談ですが, 5Vソレノイドで直接スライダを押した時は圧縮バネにすら負けました.

  • バネの強さ
    アクチュエータと同様にバネもシリンダを動かすときに輪ゴムに負けない力を出す必要があります.

  • スライダの余裕
    スライダの上下方向には0.2mmの隙間が開くように設計していましたが, 図の奥行き方向(紙面垂直方向)に余裕を持たせていなかったときにはスライダが動きませんでした. 板厚+1mmのスペーサを入れることで奥行き方向にも隙間を持たせました.

  • トランジスタ(モータドライバー)の選定
    この銃ではカムは1方向にしか回転させないので, Hブリッジ回路は必須ではありません. そこで, トランジスタで回す方法を使ってみました. そのときに手持ちのトランジスタを使ったんですが, 動きませんでした. 原因は単純にトランジスタの最大電流です. FA-130ようには1Aぐらい出せると安心です.

  • ツメの強度
    スライダーのツメには回転翼が高速でぶつかるため, 相応の強度が必要です. 今の設計だと100発も打てずにもっていかれます.

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