樹脂の部品にネジ穴を持たせたいとき, 方法は六角ナットを埋め込むか, インサートナットを埋め込むかの2つになります. 雌ねじを埋め込むメリットとしては, 締め付ける際にレンチでナットを抑える必要がないことでしょう. 締め付けの際にナットを落とすことはよくあるのでこれは非常に助かります. 他には, 機械の出っ張りを無くすといったことが挙げられます. デメリットとしては, 締め付けの際に強く締め付けると, 材料が破損する恐れがあることです.
六角ナットは日常生活でも時々目にするので, 説明は不要でしょう. インサートナットは内部は六角ナットと同じ雌ねじですが, 外側は抜け落ち防止用の溝や突起があります. インサートナットは, 入手しにくいことや, 取り付けに専用の工具が必要なこともあり, 今回は取り上げません.
今回は六角ナットを樹脂部品, 特に3Dプリンタで製作した部品に埋め込むことを前提に話していきます.
六角ナットを埋め込む方法は, ナットの形に合わせて部品を切り抜くことです. この切り抜きの形が上の図の3つになります.
Aは最も単純な六角形の切り抜きです. 切り抜きの二面幅はナットよりもわずがに大きくなるようにします. 僕の場合はナットよりも2%大きくするようにしています. 切り抜きが大きすぎると, ナットが落ちやすくなるだけではなく, 樹脂部品がナットで削られて破損してしまいます. 最悪の場合は, ナットが空転してしまい, ネジを外せなくなってしまいます. 逆に小さ過ぎれば, ナットが入らず, 無理に入れようとすればその力で部品が破損してしまいます. この大きさの問題は, ABC全てに存在します.
Bは六角形の一部を伸ばして, 突起をつけた形状です. Ultimeker で使われています. 爪の大きさで抑え具合を調節できます.
Cは六角形とその外接円の間の領域のうち3つを切り抜いた形状です. 3つの面でナットを抑えています. 僕の場合は六角形の二面幅を取り付けるナットと等しくし, 抑え気味に作っています. 現在,僕はCの形状を主に使っています
どの形状でも, 六角ナット自体は抑えられますが, 用途と使う装置と材料に合わせて調整してください. 特にABSやナイロンなどの熱収縮率の大きい材料は要注意です.
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