ログの書き出しにはmapを使おう

C++ にはmapというクラスが用意されています．このクラスは， vector のようにindexで配列の要素にアクセスするのではなく，キーと呼ばれる「名前」でデータを呼び出すことができます．このmapクラスはログをファイルに書き出す場合に非常に効果的です．

よくあるログデータは次のような形式で書かれます(,区切りのテキストファイル(csvファイル))．

[c]
time, angle, velocity, acc
0, 20, 0, 0
1, 40, 20, 0
2, 60, 20, 20
[/c]

そして，このようにファイルを書き出すコードは次のようになります．
[cpp]
std::vector header{“time”,”angle”,”velocity”,”acc”};
std::vector data;
double time, angle, velocity, acc;
/*
* データ取得・計算
*/

// vectorに各変数値を代入
data.at(0) = time;
data.at(1) = angle;
data.at(2) = velocity;
data.at(3) = acc;

// ファイルに書き込み
std::ofstream writingFile;
writingFile.open(“log.csv”, std::ios::app);
for (size_t i = 0; i < header.size() - 1; i++) { writingFile << header.at(i) << ","; } writingFile << header.at(header.size() - 1) << std::endl; for (size_t i = 0; i < data.size() - 1; i++) { writingFile << data.at(i) << ","; } writingFile << data.at(data.size() - 1) << std::endl; [/cpp] このコードで問題になるのが，vector内のデータの順番です．まず，headerの文字とデータの対応は常に正しくなければなりません．dataに変数を代入する際に，書き込む順番を間違えただけで正しくログが取れなくなります．上のコードの場合はheaderの定義とファイルの書き込むコードが近く比較しながらかけるので，まだ間違えにくいです．しかし一般的にdataに変数を代入するのはloop部分の最後になるので，代入する順番を間違えることが多々あります．また，後でデータを変更した場合にはさらにややこしいことになります．例えば， [cpp] std::vector header{“time”,”force”,”angle”,”velocity”,”acc”};
[/cpp]
と変更した場合には
[cpp]
data.at(0) = time;
data.at(1) = force;
data.at(2) = angle;
data.at(3) = velocity;
data.at(4) = acc;
[/cpp]
1以降を全てずらさないといけない上に，また順番を間違えてしまう危険性があります．

そこでstd::mapを使うことでこの問題が解決できます．
std::mapを使うと，コードは次のように書き換えることができます．
[cpp]

std::vector header{“time”,”angle”,”velocity”,”acc”};
std::map mp;
double time, angle, velocity, acc;
/*
* データ取得・計算
*/

// mpに各変数値を代入
mp.at(“time”) = time;
mp.at(“angle”) = angle;
mp.at(“velocity”) = velocity;
mp.at(“acc”) = acc;

// ファイルに書き込み
std::ofstream writingFile;
writingFile.open(“log.csv”, std::ios::app);
for (size_t i = 0; i < header.size() - 1; i++) { writingFile << header.at(i) << ","; } for (int i = 0; i < (int)header.size() - 1; ++i) { writingFile << mp.at(header.at(i)) <<","; } writingFile << mp.at(header.at(header.size() - 1))<< std::endl; [/cpp] このようにstd::mapの場合は，数字ではなく名前の文字列で呼び出せ，ファイルを書き込む時もheaderの順番に合わせて自動で書き込めるので，代入する時の順番を気にする必要がありません． mapを使って，ログを書き出す際のバグを減らしましょう! また，ファイルを書き出す時だけではなく，データをjsonなどで送信する時も同様の効果があります・